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アッヴィ(AbbVie)は、関節リウマチ患者を対象とした第3b/4相直接比較試験「SELECT-SWITCH」において、ウパダシチニブ(upadacitinib、商品名リンヴォック)がアダリムマブ(adalimumab、商品名ヒュミラ)に対し主要評価項目で統計学的有意な優越性を示したと発表した。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 【要点①】ウパダシチニブは、主要評価項目の疾患活動性低下(DAS28-CRP≦3.2)でアダリムマブに対して有意な優越性を示した。
- 【要点②】寛解率(DAS28-CRP<2.6)においても優越性を確認し、約2倍の患者が12週で寛解に到達した。
- 【要点③】12週時点で新たな安全性シグナルは認められず、既知の安全性プロファイルと一致した。
関節リウマチは慢性的な炎症性自己免疫疾患であり、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬が一次治療として広く用いられているが、一部の患者では効果不十分または不耐容が課題となっている。今回の「SELECT-SWITCH」試験は、最初のTNF阻害薬治療が不成功となった後、同系統薬への切り替えと異なる作用機序を持つJAK阻害薬への変更を直接比較した初の第3b/4相試験である。
試験では、メトトレキサート(MTX)併用下でウパダシチニブ15 mgを1日1回内服する群と、アダリムマブ40 mgを隔週皮下注射する群を比較した。その結果、12週時点でウパダシチニブ群の43.3%がDAS28-CRP≦3.2を達成し、アダリムマブ群の22.4%を有意に上回った(p<0.001)。また、寛解(DAS28-CRP<2.6)を達成した割合もウパダシチニブ群28.4%、アダリムマブ群14.5%と、ほぼ2倍であった。
- 発表元→ AbbVie
- 発表日→ 2025年10月20日
- 対象疾患→ 関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)
- 研究の背景→ 一次TNF阻害薬治療後の不応・不耐容患者における次の治療選択肢を検証。
- 試験デザイン→ 第3b/4相試験(SELECT-SWITCH)。多施設共同・無作為化・二重盲検・実薬対照比較。
- 一次エンドポイント→ DAS28-CRP≦3.2を達成した患者の割合(統計学的有意差あり)。
- 二次エンドポイント→ 寛解率(DAS28-CRP<2.6)など複数の臨床評価項目。
- 主要結果→ 低疾患活動性達成率:ウパダシチニブ43.3%対アダリムマブ22.4%(p<0.001)。寛解率:28.4%対14.5%(p<0.001)。
- 安全性→ 両群の有害事象率は同程度(ウパダシチニブ2.0%、アダリムマブ2.4%)。新たな安全性シグナルなし。
- 臨床的含意→ TNF阻害薬不応後の治療戦略として、作用機序の異なるJAK阻害薬への切り替えの有効性を支持。
- 制限事項→ 12週時点までの短期評価であり、長期持続効果・安全性の確認が必要。
- 次のステップ→ 長期拡張試験の結果発表およびガイドラインへの反映が期待される。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★☆
一次TNF阻害薬不応例に対する明確な治療指針を提示する重要な比較試験。短期成績である点は今後の検証が必要。
参考文献
AbbVie「RINVOQ(upadacitinib) Demonstrated Superiority Versus HUMIRA(adalimumab) for Primary Endpoint in a Head-to-Head Study in Rheumatoid Arthritis Patients Who Have Failed First TNF Inhibitor」
https://news.abbvie.com
ClinicalTrials.gov:SELECT-SWITCH(NCT05814627)
https://clinicaltrials.gov/study/NCT05814627
Fraenkel L, et al. 2021 American College of Rheumatology Guideline for the Treatment of Rheumatoid Arthritis. Arthritis Care Res (Hoboken). 2021;73(7):924–939.

