食物繊維の重要性とペットの健康への影響
食物繊維は犬や猫の健康において重要な役割を果たす→特に、消化器疾患の管理においてその利点は明白である。
食物繊維とは→消化されない炭水化物の多様な集合体であり、消化管のホメオスタシスの維持に不可欠である。
主な役割→消化物の物理的変化、食欲と満腹感の調節、消化の調整、および発酵による微生物エネルギー源としての機能。これらは広範な全身効果を有する。
食物繊維の分類→発酵性、溶解性、粘性に基づく。これらの特性は病気の管理と健康上の利点に直結する。
- 発酵性が高い食物繊維は短鎖脂肪酸（SCFAs）の主要な源であり、消化管の健康に重要な役割を果たす。
- 非発酵性またはゆっくり発酵する繊維は、消化管を通過する際にほとんど変化せず、最大の排便増量効果を示す。
食物繊維の管理→繊維応答性疾患を持つ犬や猫のために特別に設計された多くの獣医療用繊維強化ダイエットが存在する。これらは、特定の繊維源を特定の量で提供し、ダイエット全体が完全かつバランスの取れたものであることを保証するために、信頼できるペットフード会社によって製造される。
食物繊維の生理的効果と健康上の利点→GIT通過時間の調節、排便、食欲および体重の管理、栄養素の消化可能性と可用性、プレバイオティクとしての繊維および大腸の健康、血糖管理、および老年栄養などが含まれる。
食物繊維の摂取量に関する考慮事項
- 分類→発酵性、溶解性、粘性に基づく分類があり、これらの特性は繊維の摂取量と健康への影響を理解する上で基礎となる。
- 機能→発酵性の高い繊維は消化器の健康をサポートし、溶解性の高い繊維は便の質を改善する。非発酵性またはゆっくり発酵する繊維は排便を促進する。
- 摂取量の調整→犬や猫の健康状態、体重、活動レベルに応じて調整する必要がある。特定の消化器疾患や体重管理が必要な場合、獣医師の指導のもとで繊維の摂取量を増減することが推奨される。
- ペットフードでの報告→粗繊維（CF）や総食物繊維（TDF）など、さまざまな方法で報告される。TDFは、溶解性と非溶解性の繊維を含む総繊維量を示し、より正確な繊維摂取量の評価を可能にする。
- 具体的な摂取量→繊維の摂取量は用途や目的に応じて大きく異なる。例えば、犬や猫の食事におけるTDFの量は、0.1 g/100 kcalから11 g/100 kcal以上に及ぶ。治療食では、繊維応答性腸病の管理に適した中程度のTDF量（例：犬用4.5～6.0 g/100 kcal、猫用2.6～2.9 g/100 kcal）を提供するものがある。
- 補足による繊維の管理→特定の繊維応答性疾患の管理には、プシリウムハスクやセルロースなど、別の食物繊維源を既存の食事に追加することが一般的。しかし、このアプローチは栄養素のバランスを崩すリスクがあり、獣医師の監督のもとで慎重に行う必要がある。
- 摂取量のガイドライン→繊維応答性大腸疾患を持つ犬は、1日あたり約2テーブルスプーンのプシリウム繊維によって改善を示すことがあり、この量は個々の動物のニーズに応じて調整されるべきである。
参考文献
Moreno AA, Parker VJ, Winston JA, Rudinsky AJ. Dietary fiber aids in the management of canine and feline gastrointestinal disease. J Am Vet Med Assoc. 2022 Oct 26;260(S3):S33-S45. doi: 10.2460/javma.22.08.0351. PMID: 36288203.
J Am Vet Med Assoc. 2022 Oct 26;260(S3):S33-S45
