英国では介護施設の従業員に対してCOVID-19ワクチン接種を義務化しつつあり、医療従事者や他のケア従事者への拡大を検討している。そんな中、義務化は患者を守るために必要とする賛成派と、かえって逆効果になるとする反対派の専門家の意見が発表された。
英国オックスフォード大学などの研究グループが、医学専門誌『BMJ』で2021年8月に寄稿を寄せている。

第一線の従業員全てに義務化を

医療や社会的ケア(高齢者、障害者、乳幼児などのケア)の施設は、患者の安全に対する責任があり、患者に有害なリスクをもたらさない従事員のみを雇用する義務があると賛成派は指摘。
また、従業員にも責任があり、患者がリスクにさらされる場合は、ワクチン接種を受ける義務があるという。
そして、「医学的な禁忌や、気が進まないなどの理由で接種を受けない従業員は、できれば直ちに第一線から外すべき」と提言。
その補充として、接種を受けた従業員を短期間に確保できない場合は、患者を守るという義務を果たすため、重大な医学的禁忌のない第一線の従業員全てに対して、ワクチン接種を義務付けるべきだと主張している。

この論戦に寄せられたコメントでは、賛成派として、まれな腎臓病で3回の腎移植を受けた患者が、「自分のような免疫力が低下している者にとって、ワクチン接種していない従業員がもたらすリスクがある」と指摘。
医師や看護師だけでなく、食事を運ぶ人や清掃管理人、救急医療技士など、患者に接する全ての従業員に対して義務化するべきだと主張している。

接種しない理由を探って働きかける

一方、義務化は接種率を上げる最も効果的な方法ではなく、選択の自由という重大な倫理的問題を提起すると、反対派は指摘。
政府や公的機関に対する信頼を損ない、ワクチン接種に対する抵抗感を高める危険があると主張する。
英国では、NHSと高齢者介護施設の従業員のワクチン接種率は高いが(90〜87%が少なくとも1回目を接種)、多くが患者と対面する職務に就いている一部のマイノリティ集団で接種率が低い点について、ワクチン接種をためらう理由を探ることが基本であり、「積極的に耳を傾け」つつ情報提供するよう提言し、マイノリティ集団内のワクチン提唱者や医師などが信頼を構築する上で有用という。
また、このような戦略は、より広い人口集団においてもワクチンに対する信頼性を高めると付け加えている。

反対派のコメントとしては、非営利の介護施設協会の代表者が、英国の介護施設部門は既に「脆弱な」状態にあり、従業員の補充は簡単ではないと主張。
ワクチン接種していない従業員が離職すると、さらに13%の介護サービスが維持できなくなるという。
また、感染率は高止まりを続けており、ワクチン接種した従業員も、未接種の従業員や親戚、友人などと同様にウイルスを保持している可能性を指摘している。

www.bmj.com

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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