NMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)の認知度調査の結果が2020年10月19日に明らかになった。

アレクシオンファーマ合同会社が、国の指定難病の1つである視神経脊髄炎スペクトラム障害(Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders、NMOSD)に関して一般の認知度を調べたもの。

対象は、20代から60代の男女500人で、インターネット調査(9月28日~9月29日)によりNMOSDの情報提供活動を行うMSキャビンと共同で行った。

認知度は、「知っている」との回答は2.6%、「よく知っている/どのような症状、治療があるか知っている」は1.8%。合計すると4.4%にとどまった。

9割は女性、抗アクアポリン4抗体の自己抗体が確認される

同社は併せてオンラインメディアセミナー「神経難病NMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)患者さんの疾病負担の理解に向けて-患者さん調査の結果から見える課題と社会的理解の重要性-」を東北医科薬科大学医学部老年神経内科学教授の中島一郎氏や啓発団体であるMSキャビン、同疾患の患者を演者に招いて開催。

中島氏は疾患の状況を解説し、「中枢神経炎症性脱髄疾患として代表的なのは多発性硬化症で知っている人も多いと思う。NMOSDは同じ中枢神経炎症性脱髄性疾患であり似た病気であるが、病態は異なり異なる病気となる」と説明した。

同氏によると、NMOSDは有病率は3万人に1人ほど。日本では2000~3000人で、9割は女性。視神経と脊髄に炎症が起こり、患者の平均年齢は30代半ばだが、乳児から90歳まで幅広く起こることがある。特徴的な症状は頑固なしゃっくりだと言い、そのほか過眠症、有痛性強直性筋痙攣、失明がある。

同疾患はかつては多発性硬化症の一亜型とされ、「デビック病」とされたが、抗アクアポリン4抗体という自己抗体が確認されることが2005年までに判明。アクアポリンは細胞において水を通す役割のあるタンパク質で、これに対する自己抗体が生じることで炎症が起きる。血管周囲や軟膜に炎症が起こりやすい。

指定難病として医療費助成の対象

再発しない状態で進行することはないが、再発を繰り返して症状が進行する場合がある。そのため重要なのが再発を防ぐ治療になる。

急性期はステロイドパルス療法のほか、血漿浄化療法や免疫グロブリン大量静注療法も治療手段となり得る。免疫グロブリン大量静注療法は視神経炎のみが適用になる。

再発予防の第一選択はステロイド。保険適用外の免疫抑制薬も治療手段となっている。

多発性硬化症と同じ中枢神経の疾患ではあるものの、多発性硬化症のために承認された疾患修飾薬は効果を示さない。

新薬として抗体製剤が登場している。2019年11月にエクリズマブ(商品名ソリリス)が適用追加。2020年6月にサトラリズマブ(商品名エンスプリング)が希少疾病用医薬品に指定されている。サトラリズマブは、2020年8月に承認され、2020年9月に発売。

抗アクアポリン4抗体陽性の場合に適用になる。強い再発抑制効果が得られる。第一選択となるステロイドは、骨粗鬆症、糖尿病、緑内障、脂質異常症など副作用が多いが、抗体製剤の使用により漸減中止が可能になる。投与間隔が短く、合併症としての感染症に注意を要する。

NMOSDの抗体製剤による治療費はエクリズマブは年間6000万円近くとなり、サトラリズマブは年間約2000万円となるが、NMOSDは国の指定難病の一つとして医療費助成の対象になる。日本では2015年に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」を施行し、それまでは56の難病に対して特定疾患治療研究事業からの助成として治療費が賄われたが、難病法に基づく特定医療費(指定難病)助成制度が始まったことで、国の財源から指定難病には医療費助成が受けられるようになった。2019年7月までに333疾患が指定されている。

ドクターショッピング目立つ

アレクシオンファーマではNMOSD患者を対象とした郵送、インターネット調査も実施している(8月28日~9月14日)。回答は355人から得た。

患者が感じている症状や困っている症状としては、「しびれ・ピリピリ感(70.7%)」「疲労(65.6%)」「痛み(43.1%)」などが挙がった。

演者として説明した患者によると、不定愁訴として確定診断が付かないことも多い。調査によると、確定診断されるまでにかかった期間は「1カ月未満が27.0%」「1カ月から3カ月未満が25.1%」という短期で診断を受けた人がいる一方で、約4割は半年以上かかっていた。13.8%は5年以上となっていた。いわゆるドクターショッピングも多く、1院のみは20.3%で、2院が34.4%、3院以上が44.5%だった。仕事や学校などの社会生活に「とても影響がある」と回答したのは34.6%。このうち65%が病気のために仕事や学校を辞めた経験を持つと回答していた。

こうした調査結果も踏まえて、中島氏は、「神経内科や脳神経内科の医師であれば、ほぼすべての医師に知られる疾患となっている。専門医認定を受ける際によく学んでおり、これらの診療科のある医療機関であれば、ソーシャルワーカーも知っていると考えている。神経内科や脳神経内科以外においては、内科医師は疾患名の認知は広がっている。眼科でも認知は広がっている」と説明する。

神経内科や脳神経内科以外では認知が広がっていない面もある可能性はあるが、医療費助成の制度も整備されており、医療従事者の認知向上とともに、疑わしい症状のある人は神経内科や脳神経内科の受診促進はこれからの対処すべき課題になる。

現在、国では指定難病の助成の制度見直しの議論を進めている。医療費助成の方向性の面でこれら疾患の医療は今後さらに注目されてきそうだ。

【訂正】本文中「ビック病」と記載してありましたが、正しくは「デビック病」です。NMOSD治療薬の薬価は年間6000万円近くとしていましたが、サトラリズマブの治療費は年間約2000万円の薬価になります。お詫びして訂正いたします。なお、サトラリズマブは、2020年8月に承認され、2020年9月に発売されています。

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2 thoughts on “NMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)の認知度調査の結果が明らかに”
  1. 「ビック病」ではなく「デビック病」です。
    サトラリズマブは、2020年8月に承認され、2020年9月に発売になっています。こちらは年間約2000万円の薬価になります。

  2. 先日はありがとうございます。ご指摘をありがとうございます。本文を訂正をしております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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