米国ジョンズ・ホプキンス大学の研究グループが主導した画期的な研究により、膵がんワクチン、免疫療法、抗体治療の組み合わせが、手術可能な膵がん患者において強力な免疫反応を引き起こすことが明らかになった。この新しいアプローチは、がんを殺す免疫細胞を腫瘍内で増やし、手術前に実施することで手術成績を高める可能性がある。Nature Communications誌に掲載されたこの研究は、さらなる研究が必要であることも示唆した。

「3本柱の治療法」を検証

米国ジョンズ・ホプキンス・キンメルがんセンターの研究者によると、膵がんワクチン「GVAX」、免疫チェックポイント治療薬「ニボルマブ」、抗CD137アゴニスト抗体「ウレルマブ」から成る“3本柱”の併用療法を受けた膵がん患者が有望な結果を示した。

この研究は手術が可能な患者を対象とし、この治療法は安全で、がんを殺すT細胞の存在を腫瘍内で増やすことが確認された。この治療法は、がん摘出手術の2週間前に投与することで効果を示した。

この研究は、ジョンズ・ホプキンス・キンメルがんセンター、ブルームバーグ・キンメルがん免疫療法研究所、ジョンズ・ホプキンス大学医学部の研究者らによって行われた。この試験は、膵がんに対するネオアジュバント(手術前)およびアジュバント(手術後)免疫療法治療を検討することを目的として、2015年に開始された進行中のプラットフォーム試験の一部。

最新の臨床試験では、10人の参加者が3本柱の併用療法を受けた。その結果、サンプル数が少なかったため統計学的有意性は判定できなかったが、以前の試験群と比較して無病生存期間と全生存期間が改善したことが示された。

有望な結果と今後の方向性

最近の試験群の腫瘍検体は、ワクチン単独またはニボルマブとの併用投与を受けた患者の検体と比較して、がんを殺す免疫細胞のレベルが有意に高かった。これらの所見は、この3本柱による治療が有望であることを示唆しており、より大規模な臨床試験でさらに検討される可能性がありそうだ。

研究グループでは、手術前2週間の間に行われる膵がん治療の意味として2点を挙げる。一つは、腫瘍細胞の情報を免疫に教え、その後の再発に備えられること。もう一つは、手術で摘出された腫瘍から、治療にどう反応するかを確認できること。

今後、さらに大規模な検証が求められると研究グループは指摘する。

参考文献

Heumann T, Judkins C, Li K, Lim SJ, Hoare J, Parkinson R, Cao H, Zhang T, Gai J, Celiker B, Zhu Q, McPhaul T, Durham J, Purtell K, Klein R, Laheru D, De Jesus-Acosta A, Le DT, Narang A, Anders R, Burkhart R, Burns W, Soares K, Wolfgang C, Thompson E, Jaffee E, Wang H, He J, Zheng L. A platform trial of neoadjuvant and adjuvant antitumor vaccination alone or in combination with PD-1 antagonist and CD137 agonist antibodies in patients with resectable pancreatic adenocarcinoma. Nat Commun. 2023 Jun 20;14(1):3650. doi: 10.1038/s41467-023-39196-9. PMID: 37339979; PMCID: PMC10281953.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37339979/

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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