STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、医療やライフサイエンス分野における最新の科学的発見とその社会的影響について幅広く紹介している。本サイトでは、専門性の高い研究成果を一般読者にも理解しやすい形で提供し、日々の医療や治療戦略の理解促進に貢献することを目指している。今回紹介するのは次の通り。
東京慈恵会医科大学は、痛風や高尿酸血症の治療戦略に新たな視点を与える研究成果を発表した。消化器・肝臓内科の猿田雅之教授らの研究チームは、ヒト消化管からの尿酸分泌を世界で初めて直接測定し、小腸に存在するABCG2トランスポーターがこの過程に関与することを実証した。尿酸は腎臓からの排泄が中心とされてきたが、本研究は消化管も尿酸排泄に重要な役割を果たすことを示しており、今後の痛風・高尿酸血症の治療ターゲットとして小腸ABCG2が注目されることになる。
- 発表元→東京慈恵会医科大学
- 発表日→2025年3月11日
- 研究の背景→腎臓以外の尿酸排泄経路として小腸が注目されており、その実態を明らかにする必要があった
- 研究の目的→ヒト消化管からの尿酸分泌を直接測定し、ABCG2トランスポーターの関与を明らかにすること
- 研究の手法→内視鏡検査と並行して腸管内分泌液を採取し尿酸量を測定、ABCG2遺伝子の一塩基多型も解析
- 研究の結果→尿酸の分泌量はABCG2の機能に依存しており、小腸からの尿酸排泄経路が存在することを初めて証明
- 発表のポイント→ヒト消化管からの尿酸分泌を世界で初めて測定し、ABCG2の機能低下が尿酸排泄に影響することを示唆
- 日本人への影響→東アジア人に多いABCG2遺伝子の変異が尿酸排泄に関与するため、日本人に特有の高尿酸血症病態の解明と治療戦略に重要
- 今後の展開→ABCG2を標的とした新たな治療法の開発やファーマコゲノミクス医療の推進、薬剤排泄や尿毒症物質の動態理解にも寄与
