STELLANEWS.LIFEは、科学や医療における最先端の研究成果を報じることに注力している。本記事では、がんが生体の概日リズムに与える影響についての新たな知見を紹介する。東京慈恵会医科大学および産業医科大学の研究グループが、がん細胞を移植したマウスにおいて、活動と休止のリズムが昼夜逆転する現象を初めて発見した。

  • がん細胞を移植されたマウスにおいて活動リズムが完全に昼夜逆転することを確認
  • 腫瘍の摘出によりリズムが元の夜行性に回復する現象を初めて報告
  • 概日リズム障害の病態解明と新薬開発に向けた動物モデルとしての有用性を示唆

東京慈恵会医科大学 医学部の野中美希特任講師、産業医科大学の後藤元秀助教および丸山崇教授らの研究チームは、がん細胞(ヒト胃がん細胞株85As2)を皮下に移植したマウスを用いて、概日リズムの異常を調査した。

健常マウスは通常、明期(昼)に休み、暗期(夜)に活動する夜行性のリズムを持つ。しかし85As2移植マウスでは、腫瘍の進行に伴い、活動時間帯が明期へとシフトし、最終的には完全に昼夜逆転した昼行性のパターンを示した。この現象は、アクトグラムと呼ばれる手法によって定量的に確認された。

さらに注目すべきは、腫瘍を摘出することで昼夜逆転が解除され、1週間以内に活動-休止リズムが元の夜行性へと戻ることが確認された点である。この結果は、がん細胞が生体の内部時計に直接的な影響を与えている可能性を示唆している。

これまで、がん細胞による昼夜逆転現象の報告はなく、本研究は概日リズム障害の病態生理を明らかにするための画期的な成果といえる。研究チームは、85As2移植マウスが今後、概日リズム障害の研究および新たな治療薬開発のための有用な動物モデルになると期待している。

  • 研究機関→東京慈恵会医科大学、産業医科大学
  • 発表日→2025年4月8日
  • 研究の背景→がん患者における概日リズム障害は睡眠障害を引き起こすが、動物モデルが不足しており、治療法開発が進んでいない
  • 研究手法→ヒト胃がん細胞株85As2を皮下に移植したマウスに対するアクトグラム解析
  • 研究結果→がん細胞移植マウスは夜行性の活動-休止リズムが昼夜逆転。腫瘍摘出でリズムが正常に回復
  • 意義→がん細胞が生体時計に与える影響の新たな動物モデルとなる可能性
  • 学術雑誌掲載→Journal of Physiological Sciences電子版(2025年2月11日公開)
  • 研究資金→日本学術振興会JSPS科研費、日本医療研究開発機構AMED、産業医科大学研究助成

参考文献

Goto M, Maruyama T, Nonaka M, Uezono Y, Ueta Y, Ueno S. Circadian sleep-wake rhythm reversal in mice implanted with stomach cancer cell lines.
Journal of Physiological Sciences. 2025 Jan 31;75(1):100007.
https://doi.org/10.1016/j.jphys.2024.100007

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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