STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、がん治療や生命科学の分野における革新的な研究成果を、中立的かつ専門的な視点から伝えるメディアである。がんの予後改善に向けた基礎研究や治療戦略の進展に注目し、臨床応用への橋渡しとなる情報を厳選して届けている。今回紹介するのは、膵がんにおける新しいエピゲノム標的治療の可能性を示した東京科学大学の研究成果である。
東京科学大学大学院医歯学総合研究科の研究グループは、膵がんにおいてPAD2(ペプチジルアルギニンデイミナーゼ2)によるヒストンシトルリン化ががん細胞の増殖促進および免疫回避に深く関与していることを明らかにした。本研究成果は、2025年6月12日付で米国癌学会誌『Molecular Cancer Research』にオンライン掲載された。
研究では、手術検体の解析およびマウスモデルを用いた実験により、PAD2がヒストンのシトルリン化を通じてがん促進因子PRUNE1の発現を高め、免疫抑制的なM2型マクロファージの腫瘍内浸潤を誘導していることが示された。PAD2の阻害により、腫瘍の増殖と免疫抑制環境が抑制されることが確認された。
- 発表元→東京科学大学、信州大学、東京慈恵会医科大学
- 発表日→2025年7月1日
- 研究の目的→膵がんの進行および免疫回避に関与するエピゲノム修飾の解明
- 対象分子→PAD2(ペプチジルアルギニンデイミナーゼ2)
- 研究手法→臨床検体解析、マウス膵がんモデル、PAD2ノックダウンおよび阻害実験
- 主な発見→PAD2の核内移行によりヒストンシトルリン化が促進され、PRUNE1が発現上昇。これがM2型マクロファージの腫瘍内集積を引き起こす
- 研究の意義→PAC2-PRUNE1-M2マクロファージ経路の制御が、膵がんの進行抑制と免疫回避対策に資する可能性
- 今後の展開→PAD2阻害薬の前臨床評価、バイオマーカーによる患者層別化、免疫チェックポイント阻害剤との併用戦略の検討
- 掲載論文→Molecular Cancer Research
- DOI→10.1158/1541-7786.MCR-24-1095
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