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STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。今回取り上げるのは、AstraZenecaが発表した第3相MATTERHORN試験の最終結果であり、免疫チェックポイント阻害薬イミフィンジ(一般名デュルバルマブ)が早期胃がんで全生存期間(OS)を有意に延長したという内容である。

  • 【要点①】イミフィンジ併用療法が早期胃がんにおいて死亡リスクを22%低減。
  • 【要点②】術前後の併用(周術期)療法として、免疫療法で初めて生存期間の延長を実証。
  • 【要点③】3年生存率はイミフィンジ群で69%に達し、標準療法群(62%)を上回った。

胃がんは世界で5番目に多いがんであり、依然として再発率と死亡率が高い疾患である。AstraZenecaが実施した第3相MATTERHORN試験では、手術可能なステージII〜IVAの早期胃がんおよび胃食道接合部がん患者を対象に、イミフィンジ(デュルバルマブ)を標準治療FLOT化学療法(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)に併用する周術期療法を検証した。その結果、免疫療法併用が死亡リスクを統計学的に有意に低減したことが明らかとなった。

  • 発表元→ AstraZeneca
  • 発表日→ 2025年10月17日
  • 対象疾患→ 早期胃がんおよび胃食道接合部がん(Stage II〜IVA)
  • 研究の背景→ 手術と化学療法を行っても再発が多く、5年生存率は依然として50%未満。免疫療法の有効性が期待されていた。
  • 試験デザイン→ MATTERHORN試験は、無作為化・二重盲検・プラセボ対照の国際共同第3相試験。イミフィンジ+FLOT併用群(n=474)と化学療法単独群(n=474)を比較。
  • 一次エンドポイント→ 無イベント生存期間(EFS)
  • 二次エンドポイント→ 全生存期間(OS)、病理学的完全奏効率(pCR)、安全性
  • 主要結果→ イミフィンジ併用群は化学療法単独群に比べ、死亡リスクを22%低減(ハザード比0.78、95%信頼区間0.63–0.96、p=0.021)。3年生存率は69%対62%。PD-L1発現の有無にかかわらず一貫した生存効果が確認された。
  • 追加解析→ 病理学的奏効が得られた患者ではイベントフリー生存期間(EFS)が顕著に改善(pCR:HR 0.29[95%CI 0.08–0.96]、MPR:HR 0.32[95%CI 0.15–0.68])。
  • 安全性→ 有害事象(グレード3以上)は両群で類似。免疫関連事象は発疹、甲状腺機能異常、肝酵素上昇などが報告されたが、既知の安全性プロファイルと一致。
  • 臨床的含意→ イミフィンジ+FLOT併用は、胃がんにおける初の周術期免疫療法としてOS改善を示した治療法であり、今後の標準治療の再定義が期待される。
  • 制限事項→ 中間データで追跡期間が約40カ月と比較的短く、長期安全性と再発抑制効果の持続性を検証する必要がある。
  • 次のステップ→ 各国で承認申請を予定。胃がんおよび関連消化管がんにおける免疫療法の適応拡大を目指す。

AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):

★★★★★

イミフィンジが早期胃がんで初めて周術期免疫療法として全生存期間の改善を示した意義は極めて大きい。免疫療法が治癒目的の治療領域へ進出する重要な転換点といえる。

参考文献

Imfinzi-based regimen reduced the risk of death by 22% in early gastric cancer vs chemotherapy alone in MATTERHORN Phase III trial
https://www.astrazeneca.com/content/astraz/media-centre/press-releases/2025/imfinzi-based-regimen-reduced-the-risk-of-death-by-22-percent-in-early-gastric-cancer-vs-chemotherapy-alone-in-matterhorn-phase-iii-trial.html

ClinicalTrials.gov:MATTERHORN(NCT03774537)
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03774537

ESMO Congress 2025 – Abstract #LBA81(Proffered Paper Session, Berlin)
https://www.esmo.org/meeting-calendar/esmo-congress-2025

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