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STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。今回AbbVieが欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025)で発表するデータは、固形がんに対する抗体薬物複合体(ADC)治療の進展を示すものであり、難治性腫瘍に対する新たな治療可能性を示唆している。今回の記事で伝える情報は次の通り。

  • 【要点①】AbbVieのADC候補であるテリソツズマブ・アディズテカン(Temab-A)が大腸がんや膵がんなどの難治性腫瘍で良好な奏効率を示した。
  • 【要点②】新規SEZ6標的ADCであるABBV-706は、小細胞肺がんにおいて標準治療と比較可能な無増悪生存期間(PFS)を示唆。
  • 【要点③】ctDNAの消失と生存転帰の相関が確認され、バイオマーカーとしての有用性が示唆された。

AbbVieは、固形がん領域における標的治療の開発を加速している。同社の第1相試験群では、テリソツズマブ・アディズテカン(Temab-A)およびABBV-706が複数の腫瘍種において有望な臨床データを示した。Temab-Aはc-Metを標的とするADCであり、トップイソメラーゼ1阻害薬をペイロードとする次世代分子である。一方、ABBV-706はSEZ6を標的としたADCで、小細胞肺がんにおける分子応答と生存延長の関係が注目されている。

  • 発表元→ AbbVie Inc.
  • 発表日→ 2025年10月13日
  • 対象疾患→ 難治性固形腫瘍(大腸がん、膵管腺がん、小細胞肺がんなど)
  • 研究の背景→ 固形がんでは治療抵抗性が高く、既存療法での奏効率が限定的なため、新規ADCの有効性検証が求められている。
  • 試験デザイン→ 第1相試験(NCT05029882、NCT06084481、NCT05599984)。Temab-Aは単剤またはベバシズマブ併用で、ABBV-706は単剤および免疫チェックポイント阻害薬併用で評価。
  • 一次エンドポイント→ 奏効率(ORR)および安全性(TEAE発現率)
  • 主要結果→ ・大腸がんでTemab-A+ベバシズマブのORRは26.7%(標準治療群0%)
    ・MET増幅腫瘍でTemab-A単剤のORRは46%、非小細胞肺がん(NSCLC)では69%
    ・膵がんでORRは24%、一部集団で40%を示した
    ・ABBV-706は小細胞肺がんにおいてctDNA完全消失例でPFSおよびOSが有意に改善。
  • 安全性→ Temab-Aでの主なGrade3以上有害事象は貧血(約40%)、好中球減少(30%前後)。ABBV-706では重篤な新規毒性は認められず。
  • 臨床的含意→ Temab-AはMET増幅腫瘍を含む多様な固形がんに応用可能性があり、ABBV-706は小細胞肺がんの一次治療候補として期待される。
  • 制限事項→ 初期段階試験の結果であり、症例数が限られる。長期生存データと確認試験が必要。
  • 次のステップ→ ESMO 2025で詳細発表後、第2相・第3相試験および免疫療法併用試験へ移行予定。

AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):

★★★★☆

ADC技術の改良と固形がんへの応用拡大を裏付ける初期データであり、複数のがん種で臨床的価値が示唆された。

参考文献

AbbVie to Present New Data at ESMO 2025 Reinforcing Leadership in Advancing Targeted Therapies for Solid Tumors
https://news.abbvie.com/2025-10-13-AbbVie-to-Present-New-Data-at-ESMO-2025-Reinforcing-Leadership-in-Advancing-Targeted-Therapies-for-Solid-Tumors

ClinicalTrials.gov:NCT05029882/NCT06084481/NCT05599984

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