STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。今回、米国食品医薬品局(FDA)がアップダシチニブ(商品名リンヴォック)の新たな適応文言を承認したことにより、炎症性腸疾患(IBD)の治療選択肢に柔軟性がもたらされることが期待されている。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 【要点①】FDAが、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の使用が臨床的に不適切な場合において、アップダシチニブの使用を認める更新適応を承認。
- 【要点②】中等症から重症の潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)の成人患者が対象。
- 【要点③】新たな適応により、TNF阻害薬に不適格な患者への治療開始を早期に行えるようになった。
炎症性腸疾患は、消化管の慢性的炎症を特徴とする疾患群で、潰瘍性大腸炎とクローン病が代表的である。これらの疾患は再燃と寛解を繰り返す進行性疾患であり、治療の最適化が課題とされてきた。AbbVieが開発したヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるアップダシチニブ(リンヴォック)は、今回のFDA承認により、従来TNF阻害薬が使用困難な患者にも適応が拡大された。
- 発表元→ AbbVie Inc.
- 発表日→ 2025年10月13日
- 対象疾患→ 炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎およびクローン病)
- 研究の背景→ IBDは生活の質を著しく損なう慢性疾患であり、既存治療の副作用や効果不十分な症例が多い。安全かつ効果的な経口薬への期待が高まっている。
- 変更内容→ 中等症から重症のUCおよびCDにおいて、少なくとも1つの全身療法を受けた後、TNF阻害薬の使用が臨床的に不適切と判断される場合にリンヴォックの使用を認可。
- 薬理作用→ アップダシチニブはJAK1を主に阻害し、炎症性サイトカインのシグナル伝達を抑制することで抗炎症効果を発揮。
- 安全性→ 主な重篤副作用は感染症(結核・帯状疱疹など)、心血管イベント、悪性腫瘍、血栓症など。50歳以上の心血管リスク保有者では注意が必要。
- 臨床的含意→ TNF阻害薬に不適応な患者にも早期の経口治療選択肢が拡大し、個別化医療の推進が期待される。
- 制限事項→ 長期的な安全性評価が継続中であり、高リスク集団での使用は慎重な管理が必要。
- 次のステップ→ 米国外での適応文言更新および他免疫疾患への適応拡大を視野に研究継続中。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★☆
TNF阻害薬に依存しない治療戦略の確立を後押しするものであり、IBD治療の個別化を進展させる重要な承認といえる。
参考文献
U.S. Food and Drug Administration (FDA) Approves Updated Indication Statement for RINVOQ (upadacitinib) for the Treatment of Inflammatory Bowel Disease
https://news.abbvie.com/2025-10-13-U-S-Food-and-Drug-Administration-FDA-Approves-Updated-Indication-Statement-for-RINVOQ-R-upadacitinib-for-the-Treatment-of-Inflammatory-Bowel-Disease
RINVOQ [Package Insert]. North Chicago, IL: AbbVie Inc.; 2025.
