STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。ロシュ(Roche)は、次世代シーケンシング技術「Sequencing by Expansion(SBX)」の進展を発表し、ゲノム解析の速度と精度を大幅に向上させる成果を示した。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 【要点①】RocheのSBX技術が、従来の短鎖リードプラットフォームを超える長鎖・高速解析を実現。
- 【要点②】Broad Clinical LabsがSBXを用いて「最速DNAシーケンシング技術」としてギネス世界記録を更新(4時間未満で全ゲノム解析)。
- 【要点③】Wellcome Sanger Instituteなど複数の国際研究機関がSBXを導入し、マルチオミクス研究やエピゲノム解析に活用。
ロシュは、米国ボストンで開催された米国人類遺伝学会(ASHG 2025)において、同社のSequencing by Expansion(SBX)技術に関する主要成果を報告した。SBXは、長鎖リードと高速処理を両立する革新的なプラットフォームであり、従来の短鎖リード技術では解析が難しかった遺伝子発現やメチル化パターン、空間解析を可能にする。Broad Clinical Labsはこの技術を用いて「DNAサンプルから変異検出まで4時間以内」という記録を樹立し、ギネス世界記録として認定された。
- 発表元→ Roche
- 発表日→ 2025年10月16日
- 対象技術→ Sequencing by Expansion(SBX)
- 研究の背景→ 次世代シーケンシングの需要拡大に伴い、迅速かつ高精度な解析技術が求められている。従来の短鎖リード法では読み取り長や速度に制約があった。
- 技術概要→ SBXは、DNAを物理的に拡張しながら長鎖リードを高速で読み取るシーケンシング技術。高スループット、長鎖リード、柔軟な解析ワークフローを組み合わせている。
- 主要成果→ ・Broad Clinical LabsがRocheおよびBoston Children’s Hospitalと共同で4時間未満の全ゲノム解析を実現。
・Wellcome Sanger InstituteがSBXの長鎖リード性能を利用し、スプライスアイソフォーム検出を含むBulk RNA解析を実施。
・東京大学との共同研究では、肺がん組織15億リードの空間的遺伝子発現解析を1時間で完了。
・SBX-Duplex法を用いた高精度メチル化マッピングにより、新たなエピジェネティックバイオマーカー検出の可能性を提示。 - 臨床的含意→ SBX技術は、腫瘍学や神経変性疾患研究など多層的なオミクス解析に応用可能であり、診断研究の迅速化と精度向上に寄与する。
- 制限事項→ 現在SBXは研究開発段階にあり、商業販売は行われていない。
- 次のステップ→ 研究機関との共同評価を拡大し、臨床応用に向けたワークフロー最適化を継続予定。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★★
ゲノム解析の速度と精度を飛躍的に高める技術革新であり、臨床ゲノミクスの新基盤を形成する可能性が高い。
参考文献
Roche presents major advances for its sequencing by expansion technology, including a new GUINNESS WORLD RECORD, at the ASHG conference 2025
https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2025-10-16
