STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。ロシュ(Roche)は、抗CD20抗体オビヌツズマブ(商品名ガザイバ)のループス腎炎に対する欧州承認勧告を欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)から受けたことを発表した。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 【要点①】CHMPが、ガザイバ(オビヌツズマブ)をミコフェノール酸モフェチル(MMF)との併用で活動性ループス腎炎に推奨。
- 【要点②】第2相NOBILITY試験および第3相REGENCY試験で、標準治療単独に比べ完全腎反応(CRR)率が有意に高かった。
- 【要点③】ガザイバは、ループス腎炎で完全腎反応を示した唯一の抗CD20抗体として注目されている。
ループス腎炎は全身性エリテマトーデス(SLE)の重篤な腎障害を伴う合併症であり、未治療では末期腎不全に進行するリスクが高い。Rocheは、オビヌツズマブ(ガザイバ)が標準治療(MMFと副腎皮質ステロイド)に上乗せされることで、腎機能の改善と炎症抑制に有効であることを報告した。欧州委員会の最終承認判断は近く発表される見込みである。
- 発表元→ Roche
- 発表日→ 2025年10月17日
- 対象疾患→ ループス腎炎(Class IIIまたはIV、併発Class Vを含む)
- 研究の背景→ SLEに伴うループス腎炎は、長期的な腎障害と生活の質低下を引き起こす。既存治療では約3分の1の患者が10年以内に末期腎不全に進行する。
- 試験デザイン→ 第2相NOBILITY試験および第3相REGENCY試験。無作為化・二重盲検・プラセボ対照・多施設共同試験。
- 一次エンドポイント→ 完全腎反応(CRR)達成率
- 主要結果→ REGENCY試験では、ガザイバ併用群の46.4%がCRRを達成し、標準治療群の33.1%を統計学的有意に上回った。また、ステロイド使用量の減少と蛋白尿の改善も認められた。
- 安全性→ 安全性プロファイルは既知の血液腫瘍領域でのデータと一貫しており、新たな安全性上の懸念は確認されなかった。
- 臨床的含意→ ガザイバは腎障害の進行抑制と長期生存の改善を目指す初の抗CD20抗体治療として、ループス腎炎治療体系の更新につながる可能性がある。
- 制限事項→ 長期追跡データは継続中であり、治療効果の持続性と安全性の検証が今後の課題。
- 次のステップ→ 欧州委員会による最終承認決定後、FDAへの申請も進行中。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★★
ループス腎炎に対する抗CD20抗体の新たな治療オプションとして、疾患修飾の可能性を示す臨床的意義は極めて高い。
参考文献
CHMP recommends EU approval of Roche’s Gazyva/Gazyvaro for lupus nephritis
https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2025-10-17
ClinicalTrials.gov:REGENCY(NCT04221477)
https://clinicaltrials.gov/study/NCT04221477
Furie RA, et al. Efficacy and safety of obinutuzumab in active lupus nephritis. N Engl J Med. 2025;392:1471-83.
https://www.nejm.org/
