STELLANEWS.LIFE(ステラニュース・ライフ)は、科学技術・医療・ライフサイエンスの分野における研究成果を、中立的かつ正確に紹介するニュースメディアである。
ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)は、原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary Cholangitis:PBC)に対するセラデルパル(商品名リブデルジ)および慢性B型肝炎デルタ型ウイルス感染症(慢性HDV)に対するブレビルチドに関する長期有効性データを発表した。これらの成果は、2025年11月に米国ワシントンD.C.で開催される米国肝臓学会(AASLD)主催のThe Liver Meeting 2025で報告される予定である。今回の記事で伝える情報は次の通り。
- 【要点①】リブデルジ(セラデルパル)は、PBC患者において3年間の追跡で肝硬度の安定化または改善を示した。
- 【要点②】オベチコール酸からの切り替え症例でも良好な安全性と忍容性を確認。
- 【要点③】ブレビルチドは慢性HDV感染症で96週にわたり良好な安全性とウイルス抑制効果を示した。
原発性胆汁性胆管炎は、胆管の慢性炎症により肝線維化が進行する自己免疫性疾患である。ギリアドは、PPARδ作動薬セラデルパルの長期有効性を評価するASSURE試験およびRESPONSE試験の中間解析を報告した。これらの結果から、肝機能指標の改善と掻痒症の軽減効果が示唆されている。また、HDV感染症に対しては、ブレビルチドの統合解析が進行中であり、ウイルス抑制と安全性の両立が確認された。
- 発表元→ Gilead Sciences
- 発表日→ 2025年10月23日
- 対象疾患→ 原発性胆汁性胆管炎(PBC)、慢性B型肝炎デルタ型ウイルス感染症(HDV)
- 研究の背景→ PBCおよびHDVはいずれも長期管理が困難な慢性肝疾患であり、新規治療選択肢の確立が求められている。
- 試験デザイン→ 第3相試験(ASSURE試験・RESPONSE試験)、長期オープンラベル拡張試験を含む。
- 一次エンドポイント→ アルカリホスファターゼ(ALP)低下率(統計学的有意性あり)
- 二次エンドポイント→ 肝硬度の変化、掻痒症スコア、生活の質(QoL)指標
- 主要結果→ 治療36カ月で肝硬度が安定または改善し、ALP低下を伴う持続的反応を確認(ASSURE試験)
- 安全性→ 有害事象は主に軽度で、頭痛(8%)、腹痛(7%)、悪心(6%)など。重篤事象の発現はまれ。
- 臨床的含意→ セラデルパルは、ウルソデオキシコール酸不応または不耐のPBC患者に対する新たな治療選択肢となる可能性がある。
- 制限事項→ 長期追跡中間解析であり、最終的な生存転帰の評価は今後の検証が必要。
- 次のステップ→ AFFIRM試験により臨床的有用性の検証を継続。ブレビルチドについては米国食品医薬品局(FDA)への承認審査中。
AIによる情報のインパクト評価(あくまで参考として受け取ってください):
★★★★☆
リブデルジの長期データはPBC治療の新たな標準候補として注目されるが、生存転帰の確認が必要である。ブレビルチドの承認動向も重要。
参考文献
Gilead to Showcase Interim Long-Term Efficacy Data for Livdelzi (Seladelpar) in Primary Biliary Cholangitis (PBC) and Investigational Bulevirtide in Chronic Hepatitis Delta
https://www.gilead.com/news/news-details/2025/gilead-to-showcase-interim-long-term-efficacy-data-for-livdelzi-seladelpar-in-primary-biliary-cholangitis-pbc-and-investigational-bulevirtide-in-chronic-hepatitis-delta
ClinicalTrials.gov:ASSURE試験(NCT03301506)、RESPONSE試験(NCT04620733)、MYR204(NCT03852433)、MYR301(NCT03852719)

