幹細胞の代謝を調節することで抜け毛を防ぐ可能性があると示す研究。

髪の成長を促す毛包幹細胞は、代謝状態を切り替えることで寿命を延ばすことができる可能性があると指摘。紫外線などにより皮膚などの組織はダメージを受け、組織の除去と再生をしている。人間は毎日5億個の細胞と1.5グラムの毛を体外に出している。幹細胞の働きによって再生することができている。

毛包の再生サイクルの終わりにおいて、新しい髪が作られると、幹細胞は特定の場所に戻って、休止状態へと戻る。この新しい研究において、幹細胞の状態が戻るために、細胞の代謝状態の変化が必要と判明した。幹細胞は「グルタミンに基づく代謝と細胞呼吸」から「解糖」に切り替わる。

シフトのきっかけになるのは、Rictorと呼ばれるタンパク質。今回の研究では、Rictorタンパク質を欠くと幹細胞は元に戻れず、幹細胞のゆっくりとした枯渇が始まり、加齢による抜け毛が発生すると明らかにした。

今回の研究で明らかになったメカニズムは、抜け毛を予防するために利用できる可能性があると指摘する。

2020年10月米国研究。

Kim CS, Ding X, Allmeroth K, Biggs LC, Kolenc OI, L’Hoest N, Chacón-Martínez CA, Edlich-Muth C, Giavalisco P, Quinn KP, Denzel MS, Eming SA, Wickström SA. Glutamine Metabolism Controls Stem Cell Fate Reversibility and Long-Term Maintenance in the Hair Follicle. Cell Metab. 2020 Oct 6;32(4):629-642.e8. doi: 10.1016/j.cmet.2020.08.011. Epub 2020 Sep 8. PMID: 32905798.

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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