日本のハートシードとデンマークのノボノルディスク社は2023年2月10日、心不全に対する細胞療法であるHS-001の第1/2相臨床試験(LAPiS試験)で最初の投与がなされたことを発表した。

プレスリリースのアウトラインは次の通り。

HS-001は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)由来の純化精製された心筋細胞からなる細胞療法で、進行した心不全の心筋と機能の回復を目的としている。LAPiS試験は、虚血性心疾患に起因する進行性心不全を対象とした52週間の第1/2相非盲検用量漸増試験で、日本国内の各試験施設で実施される。

同試験では、5000万個と1億5000万個の心筋細胞の2つの用量を確かめるために10人を登録。主要評価項目は移植後26週間の安全性で、副次的評価項目は左室駆出率および心筋の壁運動である。

以上が要点となる。

心不全とは、心臓が正常に働かなくなることで、研究者は再生医療による治療方法を検討している。iPS細胞は目や神経などの再生に応用が検討されているが、心臓の問題も解決できるのではないかと期待される。

iPS細胞はさまざまな組織に分化するが、がんのリスクなど安全性に懸念もある。今回の研究は安全性を確認することに重点を置き、成功すれば、副作用を起こすことなく心臓の機能を回復させることができる。この治験の結果が注目される。

参考文献

Heartseed and Novo Nordisk announce first patient dosed in clinical study with HS-001 – a cell therapy designed to restore heart function in people with advanced heart failure
https://www.novonordisk.com/news-and-media/news-and-ir-materials/news-details.html?id=158901

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執筆/編集/審査監修/AI担当

星 良孝(ほし・よしたか)
ステラ・メディックス代表/ 獣医師 ジャーナリスト。日経BP、エムスリーなどに所属し、医療や健康、バイオなどの分野を取材。

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