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Roche、再発型多発性硬化症でフェネブルチニブが第3相FENhance 1・2試験の主要評価項目を達成──再発抑制と安全性を整理

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今回の記事で伝える情報は次の通り。


要点
  • Rocheは、再発型多発性硬化症を対象とした第3相FENhance 1およびFENhance 2試験で、フェネブルチニブがテリフルノミドと比較して年間再発率を有意に低減したと発表した。
  • フェネブルチニブは中枢神経系移行性を持つ可逆的・非共有結合型ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬で、B細胞とミクログリアを標的とする開発中の経口薬である。
  • 肝酵素上昇や感染症の発現率はテリフルノミドとおおむね同程度とされた一方、フェネブルチニブ群で死亡例の不均衡が報告されており、詳細な安全性評価が重要となる。

概要

 Rocheは2026年4月22日、再発型多発性硬化症(relapsing multiple sclerosis:RMS)を対象に、開発中のフェネブルチニブを評価した第3相FENhance 1およびFENhance 2試験の結果を発表した。両試験は主要評価項目を達成し、フェネブルチニブは標準治療薬の一つであるテリフルノミドと比較して、96週時点までの年間再発率を有意に低減した。

 FENhance 1では、フェネブルチニブがテリフルノミドと比較して年間再発率を51.1%低減し、p値は0.001未満だった。FENhance 2では58.5%低減し、p値は0.0001未満だった。Rocheは、この結果について、患者の再発頻度がおおよそ17年に1回に相当すると説明している。

 フェネブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton’s tyrosine kinase:BTK)を阻害する開発中の経口薬である。非共有結合型かつ可逆的にBTKへ結合する設計で、中枢神経系(central nervous system:CNS)への移行性を持ち、末梢のB細胞と中枢神経内のミクログリアを標的とすることを意図している。Rocheは、再発に関わる急性炎症と、障害進行に関わる慢性炎症の双方に作用する可能性があると説明している。

 副次評価項目では、磁気共鳴画像検査(magnetic resonance imaging:MRI)で評価した脳内病変に関して、フェネブルチニブ群で疾患活動性の低下が示された。新規T1ガドリニウム増強病変はFENhance 1で70.7%、FENhance 2で77.6%低減し、新規または拡大T2病変はそれぞれ76.0%、82.5%低減した。いずれもテリフルノミドとの比較でp値は0.0001未満だった。

 障害進行については、12週時点の複合確認障害進行(composite confirmed disability progression:cCDP12)リスクが、FENhance 1で20%、FENhance 2で13%数値上低下した。ただし、95%信頼区間は1をまたいでおり、発表内容では統計学的有意な低減とは示されていない。FENhance 1のハザード比は0.80、95%信頼区間は0.63〜1.02、FENhance 2のハザード比は0.87、95%信頼区間は0.69〜1.11だった。

 安全性では、肝酵素が正常上限の3倍を超える上昇はテリフルノミドとおおむね同程度だった。FENhance 1ではフェネブルチニブ群7.3%、テリフルノミド群5.7%、FENhance 2では両群とも5.6%だった。FENhance 1では、Hy’s Law症例がフェネブルチニブ群とテリフルノミド群で各1例報告され、いずれも無症状で、試験薬中止後に回復したとされる。

 感染症の発現率も両群でおおむね同程度とされた。重篤な有害事象は、FENhance 1でフェネブルチニブ群8.6%、テリフルノミド群8.9%、FENhance 2でフェネブルチニブ群11.2%、テリフルノミド群6.1%だった。一方、両試験を通じて死亡例の不均衡が報告されている。報告期間中にテリフルノミド群で1例、フェネブルチニブ群で7例の死亡があり、報告期間後にもフェネブルチニブ群で1例の死亡が観察された。死亡原因は感染症、1型糖尿病の合併症、重篤な出血、自殺、事故による損傷、原因不明などとされる。

 Rocheは、RMSのFENhance 1およびFENhance 2、ならびに一次進行型多発性硬化症(primary progressive multiple sclerosis:PPMS)を対象としたFENtrepid試験のデータをまとめ、規制当局に提出する予定としている。

詳細
  • 発表元Roche
  • 発表日2026年4月22日
  • 薬剤名フェネブルチニブ
  • 英語名fenebrutinib
  • 薬剤クラス開発中の経口、中枢神経系移行性、可逆的・非共有結合型ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬
  • 投与経路経口
  • 対象疾患再発型多発性硬化症
  • 対象患者成人の再発型多発性硬化症患者
  • 試験名FENhance 1、FENhance 2
  • 試験相第3相試験
  • 試験デザイン多施設、無作為化、二重盲検、ダブルダミー、並行群間試験。フェネブルチニブとテリフルノミドを比較
  • 被験者数合計1497人
  • 割付フェネブルチニブ群またはテリフルノミド群に1対1で無作為化
  • 投与方法フェネブルチニブは1日2回経口投与。テリフルノミドは1日1回経口投与。各群で対応するプラセボを併用し、少なくとも96週間投与
  • 主要評価項目年間再発率
  • 副次評価項目T1ガドリニウム増強MRI病変数、新規または拡大T2強調MRI病変数、12週時点および24週時点の複合確認障害進行までの期間など
  • 主要結果年間再発率は、FENhance 1でテリフルノミド比51.1%低減、p<0.001。FENhance 2で58.5%低減、p<0.0001
  • 再発頻度の説明Rocheは、フェネブルチニブ群の再発頻度がおおよそ17年に1回に相当すると説明している
  • T1ガドリニウム増強病変フェネブルチニブはテリフルノミドと比較して、FENhance 1で70.7%、FENhance 2で77.6%低減。いずれもp<0.0001
  • 新規または拡大T2病変フェネブルチニブはテリフルノミドと比較して、FENhance 1で76.0%、FENhance 2で82.5%低減。いずれもp<0.0001
  • 障害進行cCDP12リスクは、FENhance 1で20%数値上低下、ハザード比0.80、95%信頼区間0.63〜1.02。FENhance 2で13%数値上低下、ハザード比0.87、95%信頼区間0.69〜1.11
  • 修正複合障害進行の事後解析EDSSと9穴ペグテストを組み合わせた修正12週確認複合指標では、FENhance 1で悪化リスク26%低減、ハザード比0.74、95%信頼区間0.53〜1.03。FENhance 2で20%低減、ハザード比0.80、95%信頼区間0.57〜1.12
  • 作用機序BTK阻害により、末梢のB細胞と中枢神経内のミクログリアを標的とし、再発に関わる急性炎症と障害進行に関わる慢性炎症の制御を目指す
  • 安全性肝酵素上昇と感染症の発現率はテリフルノミド群とおおむね同程度とされた
  • 肝酵素上昇正常上限の3倍を超える肝酵素上昇は、FENhance 1でフェネブルチニブ群7.3%、テリフルノミド群5.7%。FENhance 2では両群とも5.6%
  • Hy’s Law症例FENhance 1でフェネブルチニブ群1例、テリフルノミド群1例。いずれも無症状で、試験薬中止後に回復したとされる
  • 重篤な有害事象FENhance 1ではフェネブルチニブ群8.6%、テリフルノミド群8.9%。FENhance 2ではフェネブルチニブ群11.2%、テリフルノミド群6.1%
  • 死亡例報告期間中にテリフルノミド群1例、フェネブルチニブ群7例の死亡を報告。報告期間後にもフェネブルチニブ群で1例の死亡が観察された
  • 死亡原因フェネブルチニブ群の死亡は、感染症、1型糖尿病の合併症、重篤な出血、自殺、事故による損傷、原因不明など、異なる時点と複数の原因で発生したとされる
  • 中止率試験薬中止率の詳細はプレスリリース中に明記なし
  • 関連試験PPMSを対象とした第3相FENtrepid試験では、フェネブルチニブがオクレリズマブ(Ocrevus)に対して障害進行抑制で非劣性を示したとされる
  • 今後の予定FENhance 1、FENhance 2、FENtrepidの第3相データを規制当局に提出予定
  • 臨床的位置付け承認された場合、RMSおよびPPMSの双方で検討される高有効性の経口BTK阻害薬となる可能性がある

AIによるインパクト評価

評価(参考): ★★★★☆

 RMSでは再発抑制とMRI病変抑制が治療選択の重要な判断材料となる。フェネブルチニブが2つの第3相試験でテリフルノミドに対して年間再発率を約半分に低減し、T1ガドリニウム増強病変と新規または拡大T2病変を大きく低減したことは、経口治療薬としての有効性を示す重要な結果と考えられる。BTK阻害薬として複数の第3相RMS試験で優越性を示した点も注目される。

 また、フェネブルチニブは中枢神経系への移行性を持ち、B細胞だけでなくミクログリアにも作用することを目指す薬剤である。PPMSを対象としたFENtrepid試験の結果も含め、再発型と進行型の双方で臨床開発が進む点は、既存の多発性硬化症治療との差別化につながる可能性がある。

 一方で、障害進行に関する結果は数値上の改善にとどまり、発表内容からは統計学的有意性は確認できない。さらに、フェネブルチニブ群で死亡例の不均衡が報告されている点は慎重に評価する必要がある。死亡原因は多様で、治療との関連性は発表だけでは判断できないが、感染症、肝機能、出血、精神症状、糖尿病合併症などを含む包括的な安全性評価が規制審査と臨床導入の焦点となる。高有効性の経口治療という利便性と、安全性モニタリングの負担をどう両立するかが今後の論点となる。

3言語要約 / Multilingual Summaries

English Summary

Note: This is an AI-assisted translation for reference.

  • Roche reported that fenebrutinib significantly reduced annualised relapse rates versus teriflunomide in the Phase 3 FENhance 1 and 2 studies in relapsing multiple sclerosis.
  • The investigational oral BTK inhibitor also reduced MRI markers of active inflammation and chronic disease burden compared with teriflunomide.
  • Liver enzyme elevations and infection rates were broadly comparable, but an imbalance in reported deaths in the fenebrutinib arms requires careful safety evaluation.


中文摘要

注:AI辅助生成。

  • Roche报告称,在复发型多发性硬化症第3期FENhance 1和2研究中,fenebrutinib较teriflunomide显著降低年化复发率。
  • 这种开发中的口服BTK抑制剂还较teriflunomide降低了MRI显示的活动性炎症和慢性疾病负担指标。
  • 肝酶升高和感染发生率总体相近,但fenebrutinib组报告死亡例存在不均衡,需要谨慎进行安全性评估。


हिन्दी सारांश

AI द्वारा तैयार किया गया अनुवाद।

  • Roche ने बताया कि relapsing multiple sclerosis में Phase 3 FENhance 1 और 2 studies में fenebrutinib ने teriflunomide की तुलना में annualised relapse rates को महत्वपूर्ण रूप से कम किया।
  • यह investigational oral BTK inhibitor MRI पर दिखने वाले active inflammation और chronic disease burden markers को भी teriflunomide की तुलना में कम करता है।
  • Liver enzyme elevations और infection rates broadly comparable रहे, लेकिन fenebrutinib arms में reported deaths का imbalance सावधानीपूर्वक safety evaluation की आवश्यकता बताता है।


参考文献

Roche’s fenebrutinib significantly reduced relapses versus standard of care to approximately one every 17 years in RMS
https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2026-04-21c


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