新型コロナウイルスのワクチン開発と標的治療の現状についての総説が報告されている。過去20年間にヒトの間で流行した2つのコロナウイルス重症急性呼吸窮迫症候群コロナウイルス（SARS-CoV）および中東呼吸器症候群コロナウイルス（MERS-CoV）と近縁と説明。その上で、SARS-CoVとMERS-CoVの構造や仕組みを研究することで得られた基礎科学的な発見を治療薬やワクチン開発に応用できるとする。「ウイルスの侵入を防ぐための抗体」、「ウイルスの複製を防ぐためのヌクレオチドアナログ」、「ウイルスの形成を防ぐためのプロテアーゼの阻害剤」などを含む標的治療法は臨床効果が検証されていると紹介。塩基配列が完全に解読され、構造タンパク質と非構造タンパク質が特定されたことで、RNA、DNA、ペプチドベースのワクチンや、宿主の免疫反応を誘発する弱毒化ウイルスワクチンの開発が可能になっていると指摘する。特異的な抗ウイルス療法やワクチンの開発が急速に進んでおり、基礎科学の発見が臨床的に大きな影響を与えていることは明らかとする。基礎科学的な要素の発見が重要とする。
2021年4月、米国総説。
Marian AJ. Current state of vaccine development and targeted therapies for COVID-19: impact of basic science discoveries. Cardiovasc Pathol. 2021 Jan-Feb;50:107278. doi: 10.1016/j.carpath.2020.107278. Epub 2020 Sep 2. PMID: 32889088; PMCID: PMC7462898.
